ORGANIC
アメリカでオーガニックが大人気!
オーガニックとは、過去3年以上無農薬、無化学肥料で栽培された非遺伝子組み換えの作物で、輸送・選別・調整・洗浄・貯蔵・包装その他の行程においても、慣行栽培作物と混ざることの無いように管理されているもの。または、その農産物を原料に加工された食品のことをいいます。日本においては「有機」、アメリカでは「Organic(オーガニック)」とされ、アメリカではさらに抗生物質・ホルモン剤を使用せず生産された畜産物「Organic」と表示されます。
世界のオーガニック食品市場の半分近くを占めるアメリカでは、2006年の市場規模が前年比22%増の169億ドルと過去最高で、自然食品ビジネスが次の3年間で230億ドルまで増加すると予想されています。オーガニック食品の小売価格は、非オーガニック食品の1.5〜2倍ですが、これほど需要が多くなっているということは、食物の安全性を気にする消費者が増えているということです。その背景には、狂牛病(BSE)などの社会問題に対する関心により、安くて多いものよりやや割高でも安心安全なものを選ぶように、消費者の意識が変わっていったことがあげられます。ですから、オーガニック食品消費者のうちの約6割が近年購入し始めたばかりの人で、健康を意識していること、味のよさ、そして何より食品情報の信頼性を選択の基準としているようです。需要が多くなれば供給の幅が広がっていき、アメリカでのオーガニック食品といえば農産物や乳製品という従来の概念が変わり始め、電子レンジ使用可能な冷凍食品、冷凍ピザ、袋入りのサラダ、温めるだけで飲めるスープ、ボール入り麺類などのすぐ食べられるようパッケージされたレトルト製品や、クラッカー、ドライフルーツ、コーンチップ、ポップコーン、クッキー、ポテトチップ、キャンデーといったスナック類など、多種なオーガニック製品の増加が見らます。また、アメリカでは最近、フードマイレージの小さいローカル(地域)のものを勧める動きがあります。「フードマイレージ」とは、食べものが運ばれてきた距離のこと。食品の生産地と消費地が近ければフードマイレージは小さくなり、遠くから食料を運んでくると大きくなる。ローカルのものはCO2の削減にもつながり、環境問題にも絡んでくると言うわけです。日本でいう「地産地消」と同じですね。
オーガニックフード・スーパーが大人気!
以前サークルスタッフが、アメリカのニュージャージー州プリンストンに旅行に行った時、オーガニックフードの大きなスーパーがあり、その品数の豊富さに驚いたという話をしていました。ジャンクフードと呼ばれるハンバーガーやホットドッグなどのアメリカ食文化の浸透があるからこそ、その反作用でここまで健康フードも注目され、それで社会のバランスが保たれているのかも知れません。そのプリンストンにあったスーパーと同じか分かりませんが、ナチュラル・オーガニックフードのスーパーとして、アメリカで圧倒的な消費者の支持を受けているのが『ホール・フーズ・マーケット』です。野菜、果物などは80%程がオーガニックで、オーガニック栽培と通常栽培の野菜は、はっきりと明記されています。また、冷凍、冷蔵、缶、瓶製品等パッケージ製品の60%程がナチュラル・オーガニックの製品。肉もオーガニック飼育による動物肉がその多くを占めています。発育ホルモンや化学肥料飼育による動物からの肉はこのスーパーでは見られません。魚介類も、その多くは自然海でとれた魚や貝類を揃えており、漁獲された産地だけではなく、漁獲方法なども記されています。自然資源に害する方法や非自然的な方法で漁獲された海産物はここでは売られていません。このような栽培、飼育、漁獲等のインフォメーションが印刷物ではっきりと公開されている企業姿勢が、尊敬する企業として評価されているのだそうです。
ではなぜ、オーガニック食品のスーパーマーケットチェーンが、ここまでの成長を可能にしたのか?その答えは、何も「オーガニック食品」を扱っているから、という理由だけではないようです。スーパーとして「高品質な商品」「フレンドリーなサービス」「きめこまやかな情報提供」「バラティーに富んだ商品」「競争力のある価格」などを行い、高品質な食品を求める生活者のために、「とにかく新鮮で、栄養があり、おいしい、最高品質の商品をそろえること」にこだわった結果、「オーガニック」にたどりついただけのことなのです。
また、何より「買い物が楽しい!」という環境づくりを徹底して行っていることも人気の理由で、例えば無料で店員がお店を案内してくれる『店内ツアー』(要予約)があったりするのだそうで、初めてお店を訪れる人にも、どんな考え方で商品を扱っているかをきちんと伝えたり、お客さんが探している商品を一緒に探したりもしてくれるという、売り手と買い手のコミュニケーションを目的としています。そして買い物が楽しくなる工夫がもう一つ、それは、ほとんどの商品が量り売りになっているという販売方法です。大きなはかりが店内のあちこちに置いてあり、それぞれ買いたいもの(オレンジ1個、ポテト1個、コーヒー、コーンフレーク、チョコレート、塩など)を好きなだけ買えるという楽しみがあります。それによって日本のスーパーで買い物すると山のように出る、トレイや袋のゴミもなく、必要な人は備え付けの袋に入れるセルフ形式が徹底しているのだそうです。自分たちの健康やおいしいものを食べられる幸せを考えたとき、オーガニックへの関心が高まり、それが地球環境への思いにもつながっていくのですね。
動物への思いやり飼育運動
アメリカの消費者意識は、オーガニックからつながって今や食べ物の生産のあり方にまで改革が及んでおり、アメリカで最近特に新聞やマスコミで『humane(ヒューメイン)』という言葉がよく取り上げられています。これは、「人間味のある」「人道にかなった」という和訳になりますが、実際には「人間扱い」といった言葉のほうが、ぴったりとあてはまる感じです。その綴りからも想像できるように、もともとは『human(人間)』が語源の単語です。この言葉が、今や人間だけに限られず他の生き物に対しても広く使われ始めているのです。動物も人間同様に「ヒューメイン」に接しよう、という考え方です。逆に、ファッションのためだけに動物の命を絶つ毛皮や、医薬品や化粧品などの動物実験はinhumane(ヒューメインの否定語)の代表例のようにいわれ始めています。
みなさんは、買い物の時や食卓に上がった肉や魚を食べる時に、それらがどの様に捕獲、飼育されたものなのか、考えたことはありますか?私は、とりあえず国産のものを買うことと、近所でとれた野菜を選ぶようにしているくらいです。でも同じ国産肉で、値段もあまり変わらない豚肉1つとってみても、スーパーで買うものと近所のお肉屋さんで買うものは格別に味の違いを感じます。お肉屋さんの豚肉はすごく豚らしい味があるのに、スーパーのは歯ごたえだけは肉だけど、味気ないのです。同じ国産なのにここまで味が違うのは、産地もあるのでしょうが、やはりエサとか飼育環境が関係しているような気がします。このような動物や魚などは、人間の食材となるために商業的に飼育されているので、安く市場に出そうとすると、効率よく大量生産できるような飼育方法になり、その結果、動物や魚は、私たちが想像を絶する様な環境の中で飼育されてしまうことになります。ストレスを感じた動物が、化学薬品まみれのエサを食べた動物が、私たちの体を作る栄養になっている…そう考えると、ちょっと恐ろしいですよね。アメリカでは、このような利益優先・大量生産優先の飼育環境を改善し、動物や魚をhumaneに飼育し、しかもhumaneに食肉処理する傾向が食肉用の鶏、豚、牛、魚などにも広まっています。
このムーブメントを一般にも浸透させ、関心を高めようとしているのが前文で書いたナチュラル、オーガニックフードの大手スーパー『Whole Foods Market(ホールフーズマーケット )』が発表した『The Animal Compassion Foundation』の創設です。同社はこの機関を通じ、広く食肉用動物の飼育環境を高め、より動物をhumaneに扱うという運動を始めています。数年先には、Animal Compassion(動物への思いやり)の規格を設け、オーガニックフードと同様に、承認機関を設ける事も検討しているのだそうです。ホールフーズマーケット の創設者の一人であるJohn Mackey氏はThe Animal Compassion Foundation の創設について、「安い食材の需要が工業的な食肉生産体制を育て、その結果、動物の飼育環境は効率を優先し、動物たちの基本的なニーズを無視する飼育体制になってしまった」と語っています。
養鶏施設でもhumaneムーブメントは広がっています。現状の安い鶏肉やタマゴを可能にしているのは、鶏を身動きもできないほどの狭いスペースに閉じ込め、ホルモンを含んだ肥料を大量に与え、短期間に最も効率の良い方法で大規模に飼育している結果です。鶏を一日中、工場のような環境で飼育するのではなく、一日数時間でも屋外で自由に動き回れる環境で育てる方が、より鶏にとってhumaneです。このような環境で飼育された鶏を、Free range chicken(日本では平場飼育地鶏)と呼び、市場にも出回っているそうです。価格的には他の鶏肉に比べ3〜4割高ですが、味が良いとの評判で売れているようです。また、囲いのない環境で育てれた鶏から取れたタマゴはCage Free Eggs(放牧)として販売され、これらも通常のタマゴより6割ほど高めだが、スーパーでの売上げは好調なのだそうです。
さらに、フランス料理の高級食材であるフォアグラも、シカゴをはじめいくつかの米国都市では、輸入や提供を法的に禁止しています。ガチョウの口から強制的に餌を入れ、肝臓を肥大させ育てるのはhumaneな飼育ではない、という理由からです。シカゴでは、フォアグラを提供すると500ドルの罰金が課せられるそうです。
このように、私たちの食材となる動物や魚を人間的な立場で、より好ましい環境で飼育しようという運動は広まりつつあるのですが、どこまでをhumane とみなし、どこからinhumaneとするかの判断が容易ではないようです。例えば、乳牛の場合は一日最低でも4時間は屋外で動き回れる環境が必要としているけれど、明らかな基準はなく国の規制もまだありません。鶏1羽が占める面積、いけすタンクの面積と魚の数の比例…など、未解決な問題は山ほどあります。オーガニックが標準化されるまでに今まで20年を費やしているのだから、このような自然に近い飼育生産も、今後ますます注目され定着していくのではないでしょうか。
しかし、ただ手段としてやればいいというわけではありません。結局この世の中は、私たち人間の心ひとつで物事が展開していきます。「生きるために食べる」よりも、「お金を稼ぐために生きる」方が優先の人がリーダーシップをとっていれば、どんな素晴らしいムーブメントも、その人たちの私腹を肥やす手助けをしているに過ぎません。私たちは生きているだけで充分幸せであることに気づき、そのためには健康であることと食べるものはおいしいものを食べたい!という純粋な欲求、おいしいものを食べてもらってみんなの笑顔が見られることがとっても嬉しい!という純粋な愛情、この心こそがhumaneなのだと思います。
なぜオーガニック食品を扱うのか?
今回のカタログに掲載した商品の輸入業者は、自然食品を取り扱って20年になる会社で、代表はアメリカ人です。その人が書いた挨拶文が、商品カタログに掲載されていたのでご紹介します。
『弊社を設立した20年前、弊社の今日の姿など夢にも思いませんでした。当初から弊社の商品を買い支えて下さったお客様、また自然食品を弊社と共に推し進めてくださった日本の皆様に深く感謝いたします。弊社が成長し、わずかながらも社会に貢献できるようになったのは、偏に皆様のおかげです。
私は、1970年代に米国の農業大学を卒業後、有機農業・食品運動に関わり始めました。当時、地球の「健康」と私たち人間の健康は密接な関係にあり、工業化された大規模農業はその関係を大きく損なうものだという共通認識を持つ人々が、世界中に点在していました。農業の工業化は、大規模農場を作り出すと同時に、小規模農家を消滅させ、各地域にあった固有の作物品種を減らし、土を肥やすどころか農薬漬けにしていくものでした。その結果、人々は大地から離れ、食物を作らなくなり、家族で食卓を囲むことも少なくなりました。こうした状況下、私たちの命に関わるこれらの問題を深刻に受け止めた人々が、有機農業を始めたり、環境問題に真剣に取り組むようになりました。
今日では、多くの消費者が自らの健康を守るべく「安全な食」に強い関心を示すようになり、自然食品業界も飛躍的に伸びました。各人のため自然食品を選択することはもちろん大切ですが、よりおいしい栄養価の高い食物が生産できるように、空気、水、大地などの環境保護や健全な農業の育成に力を入れていくことも重要だと思います。
有機農業に携わっている人々からは、今日ほど需要があったことは過去になかったという話をよく耳にします。でもそこに問題があるのです。自然界では急に生産を増やすことはできません。異常気象などによる収量の減少やバイオ燃料業界からの爆発的な需要も手伝って、原料の供給が間に合わず、市場に混乱をもたらしています。
一体、私たちはどうしたらいいのでしょうか?まずは、地球が抱えている問題の全体像を捉える事から始めてはどうでしょう。地球上に起きている問題の原因をじっくり考えてみると、私たち人間の行動や選択が大きな要因であることに気付きます。ということは、私たち一人一人の日常生活における意識改革が、地球をより「健康」にしていく大きな原動力になるのではないでしょうか。20年に亘り自然食品業界に身を置くことができ、また、日本の皆様と共に自然食品の広がりに微力ながら貢献できたことを、心より感謝します。』
リーダーのこの様な考えが根底にあるため、この会社の選ぶ商品は、日本国内で製造が不可能もしくは困難なもの。地球環境及び生産者の健康を害さない方法で製造されたもの。家族経営農家や小規模生産者をサポートし、さらには顔の見える関係が築けているもの。生産者の経済を圧迫しないフェアトレード商品であるもの。消費者が安心して食べられるベジタリアン食で、オーガニックもしくは無添加のもの。といった基準で商品を選んで提供しています。
サークルでは、今後ともオーガニックやフェアトレード商品選びはもちろんのこと、それを取り扱っている業者の会社方針や思いなど、人と人とのつながりも選んで、サークルのみなさんにご紹介していきたいと思いますので、どうぞお楽しみに!!