CONE BREAD
最近のお気に入り 〜コーンブレッド〜
トム・ハンクス主演の映画『グリーンマイル』で、死刑囚のジョン・コーフィが大好物だといっておいしそうに食べるコーンブレッド。以前からも「すごくおいしいんだよ〜」という声を何度か耳にしていたのですが、スーパーでもパン屋さんでもお目にかかったことが無く、時が過ぎていました。そこに、たまたま会員さんからのオーガニックジャムの注文をしようと久しぶりに輸入業者カタログを見ていて目にとまったオーガニックのコーンミール!トウモロコシの皮や胚芽を取り除いて挽いた粉です。早速取り寄せて、いろいろコーンブレッドの作り方も調べて、作ってみました。温かいシチューとコーンブレッドが並んだ食卓は、まるでアメリカの食卓みたいな雰囲気。アツアツをほおばったら、ホロリとした食感と、存在感のある粉のざらざら感と、ほんのり甘いコーンの香りがとっても後引くおいしさで、食べ過ぎを押さえるのに必死でした。そして翌朝、残りの半分を電子レンジで軽く温め、メープルシロップをたっぷりかけて朝食にしました。これもまた美味!1回で2度おいしいコーンブレッドでした。普通のパンと違って発酵の時間がないので、とっても手軽に思い立ったらすぐ出来るし、余ったら冷凍保存できるし、主食にもお菓子にもなって栄養満点なので、お子さんにもオススメです。作り方は色々調べてみたのですが、アメリカの家庭料理なだけあって、家庭ごとに材料の配合を微妙に変えて家庭の味を作り出しているようです。私も、調べたレシピを色々見比べて、2種類作ったりした研究の結果、一番好みだったのが炊飯器で作るコーンブレッドでした。本場アメリカでは、鋳物のフライパン(スキレット)でじっくり焼き上げるものなのですが、炊飯器で作ったものがとてもふっくら仕上がってきれいでした。今回は、その炊飯器レシピと、オーブンレシピの2種類をご紹介します。炊飯器で作るレシピは、パンに近いようなふっくらした感じに焼けます。油もバターも入らないので、ヘルシーだしコーンの素朴な香りが引き立ちます。オーブンで作るレシピは、表面がきつね色にかりっと香ばしく焼けて、スコーンに近いパンが焼けます。特に、私は約25センチ四方の天板に広げて焼いたので、ますますお菓子のように焼けましたが、もっと小さな型で焼けば少しふっくらするのではないでしょうか。私はどちらも違う個性があって大好きです!みなさんもお好みに合わせて、作ってみてはいかがでしょう。
コーンブレッド・レシピ
★炊飯器編〜やわらかくてふっくら〜
<材料(1カップ=200cc)>
A(コーンミール…1カップ・強力粉…1カップ・ベーキングパウダー…大さじ1・砂糖…大さじ2・塩…小さじ1/2)・牛乳…1と1/2カップ・卵…1個
<作り方>
①Aの粉類をすべてボウルに入れ、フォーク等で混ぜ合わせておく。②卵を白っぽく小さな泡が出来るまで軽く泡立てた後、牛乳を入れて混ぜておく。③②に①を入れて、フォークやゴムべらで生地を練らないようにしながらサッと混ぜ合わせる。生地は多少粉っぽくダマが残る感じでよい。④生地を炊飯器に流し入れ、白米を炊くのと同様に炊く。⑤炊きあがって中央が生なら、再飯して様子を見ながら、竹串で生地がつかなくなったらできあがり。
★オーブン編〜香ばしくてサックリ〜
<材料(1カップ=200cc)>
A(コーンミール…1カップ・強力粉…1カップ・ベーキングパウダー…小さじ2・砂糖…大さじ2・塩…小さじ1/3)・牛乳…1カップ・卵…1個・オリーブ油…60cc
<作り方>
①オーブンを200度に温めておく。焼き型にクッキングペーパーを敷くか、サラダオイルを塗っておく。②Aの粉類(強力粉、コーンミール、砂糖、ベーキングパウダー、塩)をボウルで混ぜ合わせておく。③卵は溶いて牛乳と混ぜ合わせ、サラダ油とともに②に入れる。④生地をフォークでよくかき混ぜる。生地は多少粉っぽく、ダマが残る感じでよい。5焼き型に生地を流し入れ、オーブンで20〜30分ほど焼く。中心に竹ぐしを刺して、何もついてこなければ焼き上がり!
★コーンブレッドの歴史★
あまりにもおいしくてお気に入りになったコーンブレッド、その起源は、はっきりとは残されていないようですが、おそらくコロンブスの新大陸発見以降、ヨーロッパの人々がアメリカ大陸に渡ってからだと考えられています。なぜならそれ以前に、アメリカ大陸に小麦はなく、ヨーロッパの人々はトウモロコシを見たことも食べたこともなかったからです。ヨーロッパ人の小麦とオレンジ、アメリカ大陸にあるトウモロコシなどの新しい作物、この食の融合を、アメリカでは「偉大な交換」(The Great Exchange)と呼ばれています。これによって、人類の食生活が大幅に進歩、多様化したからです。ヨーロッパ人がアメリカ大陸に移住したての当初は、小麦生産はまだ十分安定したものではなかったため、アメリカ先住民族(インディアン)の主食であるトウモロコシの粉と、小麦粉を混ぜて焼くコーンブレッドが普及していったということです。このように、コーンブレッドはアメリカの生活に長く深いかかわりを持っているため、アメリカの物語や映画などでも多く登場しています。例えば、トムソーヤが冒険に持っていたお弁当も、「大草原の小さな家」のローラが家族に作った家庭料理もコーンブレッドです。家庭の温かさを感じて食べる料理、つまり、アメリカのおふくろの味なのですね。伝統的な焼き方は、深めで重厚なスキレット(フライパン状の鍋)で焼いたコーンブレッドだそうです。今やアメリカでは日常食べるパンの一つでもありますが、特に感謝祭(11月の第4木曜日)とその週末には、七面鳥料理と並んで欠かせない食べ物なのだそうです。
★トウモロコシの粉について★
コーンブレッドに欠かせないのが、トウモロコシの皮や胚芽を取り除いて挽いた粉です。日本では、比較的粗挽きの粉をコーングリッツ、それよりも細挽きのものをコーンミール、さらに粒子の細かいものをコーンフラワーと呼ぶことが多いようです。粒の大きさは好みもありますが、初めてコーンブレッドを焼く場合は、「コーンミール」とか「細挽コーングリッツ」のように粒子の細かい粉が良いでしょう。その方が、ふっくらしっとりした仕上がりになるからです。お菓子用には「コーンフラワー」と書かれた小麦粉のように細かい粉が向いています。今回私が使用したオーガニック コーンミール 907g (#101-558 ¥468 CN426)は、見た目小麦粉に近いような感じでしたが、焼き上がったパンからは粉のプチプチざらざら感がちゃんとあり、とってもおいしかったです!