どんな鍋がお好み?
先月のカタログ(NO.624〜625)でご紹介したホーロー製品には、たくさんのご注文をいただき、ほとんどが品切れとなってしまいました。
セール品として超低価格だということもあるのでしょうが、やはりホーロー製品のツルンとした肌触りや色のカラフルさにも人気の要素は大いにあるようです。確かに、キッチンに置いてあるだけでとてもかわいい雰囲気が出て、お料理が楽しくなります。わが家も、ヤカンやミルクパン、ル・クルーゼのパエリアパンなどを愛用しています。私が最初にホーローを知ったのは、子どもの頃ジャム作りをしたときでした。その時に母からホーローの鍋で作るとおいしくできると教わったのです。その時、鍋にはいろんな種類があって、お料理によって使い分けるとおいしくできるんだなあと知りました。最近は、チタンとかトーセラムとかいった新しいお鍋もたくさんあるようなので、鍋知識としてちょっとまとめてみました。
<ホーロー鍋>
ホーローとは、金属の表面にガラス質の皮膜を高温で焼き付けたものです。中でも鋳物ホーローは、溶かした金属を鋳型の空間に流し込んで作り、 パウダー状のうわ薬をふり掛けて焼き付けたものを言い、酸に強く、錆び・腐食に強い材質です。ホーロー鍋は、保温性にも優れ、鍋全体から熱が均一に伝わるので、じっくり煮込みむ料理などに向いています。直火はもちろんIH調理器にも対応可能です。使用後は、中性洗剤とスポンジなどで洗い、すぐに水気を切ることが大切です。落ちない焦げ付きは、 水を張って重曹を入れ、弱火で煮立ててしばらく置いてから洗うと落ちやすくなります。金タワシ・クレンザーなどは、表面を傷付けるので使用しないようにしましょう。
サークルでも取り扱っている人気の鋳物ホーロー鍋「ル・クルーゼ」の場合は、1300°Cの高熱で溶かした鉄とコークス(石炭の一種) を鋳物に流し込み、職人の手で一つ一つ丹念に作られています。鉄製鋳物を芯として、内側に2層・外側に3層の 6層にもなる鍋は、4mmもの厚さとなり、非常に優れた熱まわり、保温性を見事に実現しています。ル・クルーゼは、1925年、北フランスの小さな町、フレノワ・ル・グランで創業されました。 フランス語で「坩堝」を意味する「クルーゼ」に定冠詞の「ル」をつけて「ル・クルーゼ」と言う社名が誕生しました。ルクルーゼの鍋は、世界50ヶ国以上の多くのユーザーに愛されている鋳物ホーロー製品の逸品です。
<ステンレス鍋>
ステンレス鍋は、アルミ合金などとの多層構造の物が多く、より熱効率を良くし、鍋全体に素早く熱が伝わります。直火はもちろんIH調理器にも対応可能です。
ステンレスとはさびて汚れないという意味を持ち、クロムを13%以上含んだ鋼とのことです。クロムはさびを防ぐ性質があるそうです。 ステンレスはJIS規格だけで約70種類以上もあるそうで、例えば18-8ステンレスとか表現されたりするのは、クロムが18%、ニッケルが8%含まれているということだそうです。また、ステンレス鍋が虹色に変色したりすることがありますが、表面が薄い酸化皮膜で覆われており、煮汁のミネラル分のイオンがステンレス表面に付着して発色している現象だそうで、 使用に問題は無いそうです。黒ずみもよく起こりますが、食材に含まれている「タンニン」がステンレス鋼の主成分である鉄と反応し黒くなったもので、無害だそうです。
<アルミ鍋>
アルミ鍋は、酸性やアルカリ性に弱いので、お料理を入れたまま放置するのは避けましょう。酢などの酸性の物を使用した料理や、コンニャクなどアルカリ性の強い食材を使用した料理も避けた方がいいようです。新しいアルミ鍋をおろす場合、表面が錆び付くのを防ぐため、牛乳を入れた水を煮立たせて皮膜を保護し、スポンジなどで洗い流し水気を拭き取ります。 また、黒く変色するのを防止するには、米のとぎ汁を7~8分目入れ、約10分程度ふたを開けたまま沸騰させた後、スポンジなどで洗い流し水気をよく拭き取ります。もしアルミ鍋が黒ずんでしまった場合は、レモンを輪切りにしてよくこすったり、リンゴの皮や芯と水をいれて15分ほど煮ると、それらに含まれる酸が黒ずみを取ってくれます。 金属製のタワシは、アルミ鍋を傷つける原因となりますので使用しないように注意しましょう。
<チタン鍋>
チタン鍋は、軽くて強くて錆びないという3拍子そろった優れた素材のチタンでできています。 少ない火力で火の通りが良く、シャキッと手早く調理できるので、中華鍋(北京鍋)に向いています。重さは鉄やステンレスの約半分で、硬度が高いので傷が付きにくく強度は鉄やステンレスの約3倍です。熱や酢・酸への耐久性に優れており、穴空きもなく錆びることもありません。また、チタン鍋は金属イオンが溶け出さないので、金属アレルギーの人でも大丈夫です。但し、火の通りが良過ぎてすぐに油温が高温になるため、天ぷらや揚げ物等の調理は危険なので使用できません。 強火は危険です。
<セラミック鍋>
セラミックは製造過程において高温処理を施した陶磁器のことです。セラミック鍋は、熱伝導と蓄熱効果に優れているので、中火や弱火で調理でき、材料が長時間冷めにくく、省エネ効果もあります。 すき焼き・鍋物はもちろん、カレーやシチューなどの煮物や蒸し物に最適です。セラミックは遠赤外線効果が大きく、マイナスイオンが発生し、食材を美味しく仕上げます。 また、どのような熱源にも対応することが可能で空焚きしても大丈夫です。熱には非常に強いのですが、落としたりぶつけたりすると割れる可能性がありますので強い衝撃などを与えないように注意しましょう。また、蓄熱量が高く、油の温度が必要以上に上がる危険性があるため、てんぷら鍋としては不向きです。
<トーセラム鍋>
トーセラム鍋は、素材がニューセラミックスなので、遠赤外線効果があり食材の芯から加熱し、焼く・煮る・炊く・蒸すを美味しく仕上げます。また、カルキを取る効果もありますので、水が美味しくなります。さらに、金属溶出がなく、金属アレルギーの方も安心して使える鍋です。 保温力が高いので、中火や弱火で十分に調理できます。 直火はもちろん、電子レンジ、IH調理器等、あらゆる熱源に対応可能です。
<土鍋>
鍋料理など、寒い冬には大活躍の土鍋は、直火以外にIH対応可能なものもあります。 新しいものを使用する前は、7分目程度の水にごはんを入れて糊状になるまで炊いておくと、 ごはんの糊や粘性が土鍋にまくを作りヒビ割れや匂いが移るのを防ぐことができます。もしヒビが入ってしまったら、お粥を炊いて糊状し補修しましょう。また、空焚きは厳禁です。熱いままの状態で急激に水洗するのも割れの原因になりますので注意が必要です。土鍋の裏は素焼きで非常にデリケートなので、鍋裏が乾いているのを確認してから火に掛けましょう。 使用後も鍋裏は洗わず、内側だけを洗うようにします。
<鉄鍋>
アウトドアで大活躍のダッチオーブンや、中華鍋、 南部鉄器のすき焼き鍋、などが有名な鉄鍋で調理された食物は、鉄分が多く含まれ、吸収率の良いイオン状態の鉄分が流れ出し、体に吸収されるため不足しがちな鉄分補給に役立ちます。鉄鍋は強い火力にも耐久性があり、食材全体にむらなく熱が伝わり、一定の温度が保てるのが特徴です。初めて使用する際は鉄臭さが残っているので、軽く水洗いした後、薄く油をひき、野菜くずなどを炒めるとましになります。お手入れは、お湯で洗い流し、弱火に掛けて水気を飛ばします。金たわしやクレンザーなどで鍋の表面を傷つけると、 さびの原因となりますので避けるようにしましょう。
<石鍋>
石鍋は、素材が天然石でデリケートなので取り扱いには注意が必要です。初めて使用する際は、水洗いして充分に乾燥させた後、石鍋全体に植物油を塗ります。 そして弱火で約5分程度空焼きし、自然に冷めるまで待ちます。その後、洗剤等で軽く洗い流して使用します。できるだけ中火以下の火力で調理し、鍋が熱い内は水を掛けたりして急激に冷却しないよう注意しましょう。 ひび割れ等の原因になります。石鍋で作る石焼きビビンバのおこげは絶品です。
<雪平鍋>
雪平鍋の大きな特徴は、底が浅くて口径が広いので熱まわりが早いことと、 片手鍋で注ぎ口があり、表面が凹凸であるという点です。材質はアルミ製の物が一般的で、銅製もあります。表面の凹凸は、本来金槌で丹念に打ち締め凹凸をつけることで丈夫にし、 鍋の表面積を大きくして、熱の伝導性を高める目的で施されているそうです。和食の煮物や魚の煮付けに使い勝手がよく、野菜を茹でたり、だし汁を摂ったりするのにも重宝します。